Q&A

こどもの体調

 便の黄色い色は胆汁色素のビリルビンで、腸の中で発酵がおこって酸性になるとビリベルジンに変化して、緑便になったりします。便が腸の中に長時間あったり、腸内細菌によって酸性に傾くと緑色の便が出やすくなります。母乳より人工乳のほうが乳酸菌の数が少ないため、人工栄養児のほうが、腸内が酸性に傾きやすく緑便を排泄することが多い傾向にあります。赤ちゃんの機嫌がよく、体重増加が順調で、ミルクの飲みもよければ心配はないでしょう。

 いつもの便と違う点をよく観察してください。また、嘔吐はあるか、腹痛はあるか、食欲はどうか、発熱はあるか、発疹はあるか、よく観察しましょう。「こども救急ガイドブック」に、症状別対処法やワンポイント・アドバイスをまとめておりますので、ご覧ください。(栃木県/こども救急ガイドブック (tochigi.lg.jp)
 また、こどもの急な病気やケガについては、経験豊富な看護師による「とちぎ子ども救急電話相談」がありますので、ご利用ください。
 (♯8000(局番なし)、携帯電話やプッシュ回線以外からは028-600-0099)

 生後2か月を過ぎてくると便を溜められるようになり、便意をもよおして排泄します(排便反射)。赤ちゃんの時期は、排便反射機能がまだまだ発達途上なので便秘傾向になる子も多いようです。2~3日おきでも便が硬くなく、それほどいきまずに出ているなら便秘とはいいません。逆にコロコロした硬い便で、かなりいきんで出す便は習慣性便秘とみてよいでしょう。哺乳量に変化がなく、体重増加も良好なら、家庭でのケアで便秘の癖を解消してあげるようにします。

 便秘時の対処方法は、


  1. 腹部を「の」の字にマッサージする
  2. 3日出なければ綿棒で肛門を刺激してみる。
  3. 生後2~3か月までなら糖水(白湯100mlに対して砂糖小さじ1杯)を与え、離乳が始まっていればマルツエキスや果汁(特にみかん)を与えてみる。

果汁などに含まれている糖分は便をやわらかくする作用があるので、便秘であれば毎日摂取すると 効果的です。また、1・2は授乳後1時間くらい経ってから行うと排便反射が促され、さらに効果的です。

 こどもは、夕方から夜にかけて発熱することが多いものです。発熱以外の症状もよく観察して、あわてずに対処しましょう。「こども救急ガイドブック」に、症状別対処法やワンポイント・アドバイスをまとめておりますので、ご覧ください。(栃木県/こども救急ガイドブック (tochigi.lg.jp)
 また、こどもの急な病気やケガについては、経験豊富な看護師による「とちぎ子ども救急電話相談」がありますので、ご利用ください。
 (♯8000(局番なし)、携帯電話やプッシュ回線以外からは028-600-0099)

 生後6か月位までは新陳代謝が活発なことや、お母さんから受け継いだホルモンの影響で、思春期のニキビのような発赤疹(赤いブツブツ)が顔を中心に体中に見られることがあります。『乳児湿疹』と呼ばれるもので、皮膚の清潔を心がけていれば、軽いものは自然に治ってしまいます。よだれや、汗、食べ物の汁などはすぐに拭き取ってあげて、授乳後は口の周りを濡らしたタオルで優しく拭くか洗ってあげると良いでしょう。入浴時には、よく泡立てたベビーソープで優しく洗い、ぬるま湯できれいに流しましょう。また、赤ちゃんの皮膚はデリケートですから、放っておくと乾燥しやすくかさついてしまいます。入浴後は、すぐにベビーオイルや乳液、ワセリンなどで保湿をしてあげるようにしましょう。また、口の周りに白色ワセリンを塗布しておくことで、よだれや食べ物の汁(汚れ)をはじいてくれる効果もあります。


 乳児湿疹は、おおむね6か月をすぎると見られなくなってきますが、治りにくく繰り返し発疹が出てくる時は「アトピー性皮膚炎」の可能性もあるので、皮膚科や小児科での診察を受けるようにしましょう。


 頭の黄色いものは、『脂漏性湿疹』と呼ばれるもので、乳児湿疹同様6か月までの赤ちゃんによく見られる症状です。皮脂の分泌の多い頭やおでこにかさぶた状にこびりついていることが多いですが、入浴時にシャンプーや石鹸で洗う事で自然に取れていきます。べったりとはりついたかさぶたには、入浴30分位前にベビーオイルやオリーブオイルまたはワセリンを塗って、ふやかしてから石鹸などで洗い流すと効果的です。

こどもの発育

 言葉の発語は、運動機能などの体の発達に比べると個人差が大きいため、少し長い目で経過を見てみないと分からないことがあります。耳の聞こえ具合に特に問題がなければ、どんなお子さんでも、まず言葉を理解すること(言語理解)が先にみられ、ある程度理解が進んでから話しができるようになります(言語表出)。大人の簡単な指示に従うことができたり、指さしができれば、この言語理解がみられていると判断できます。2歳までに言語理解ができ、意味が分かって使われている単語の数が日々増えてきているようであれば、2語文が話せないお子さんも、3歳のお誕生日を迎える頃になると急激に言葉の数が増えてくることも多くみられます。


 言葉は、大人とこどもの豊かな感情交流の中から育っていきます。お子さんの目を見て話したり、絵本の読み聞かせをしたり、また、一緒に遊んであげることも大切です。


 お子さんに話しかけてあげる時は、お子さんの表情や態度に注意を傾けながら、発語の意味や行動に丁寧に付き合ってあげることが必要です。また、お子さん自身が、話をしてみようという気持ちにさせるためには、話しかけてあげることが一番良い方法ですが、答えるまで待ってあげることも大切です。お子さんが何か言おうとしているのにもかかわらず、先取りしてお母さんが代弁するのではなく、話せる機会を与えてあげるよう心掛けることも忘れないで下さい。

 「あのおもちゃが欲しい」など、自分の要求がはっきりしてくる時期です。自分の思いを通そうという気持ちは強いのですが、相手の気持ちや都合を考えることはまだできません。自分の欲求が先に出て、欲求同士がぶつかり合い、おもちゃの取り合いになってしまうのです。この位の時期のこどもは、取り合いをしたり、けんかをしながらこども同士の社会性を学び成長していきます。

おもちゃを取り合ったり、けんかしたからといっても決して仲が悪くなったりはしません。頭ごなしに叱ったり、いつも我慢させるのではなく、できるだけこども同士の様子を見守ってあげましょう。そして、初めのうちはお母さんたちもこどもたちと一緒に遊びの輪に入り、「貸してちょうだい」「どうぞ」「ありがとう」「一緒に遊ぼう」など言葉で主張する方法や譲る方法を、その場で繰り返し教えていくようにするとよいでしょう。このような体験を通して、言葉で意思の疎通がうまく図れることを知り、徐々にこどもたちは成長していくものです。

 この時期のお子さんは、自我が芽ばえる頃のため、親の思うように歯みがきをさせてくれないことが多いものです。好奇心が旺盛で人まねが好きな時期ですので、まずは、保護者がお子さんと一緒に歯みがきをして見せてみてはどうでしょうか。


保護者の様子を見て自分でやりたがるようなら、危なくないようそばで見守りながら、歯ブラシを持たせて自由にやらせてみます。お子さんが飽きてきたら、仕上げみがきをしてみましょう。お子さんが仕上げみがきを嫌がる理由の一つに、歯ブラシを当てる力が強すぎることも考えられます。押さえつけて力まかせに磨かず、軽くブラシをあてるようにしましょう。

また、上の前歯の中央には「上唇小帯」という上唇と歯ぐきの間にある太いスジがあります。上唇小帯に歯ブラシが当たると、痛みを感じることがありますので、指でガードしながらみがくとよいでしょう。


 楽しい雰囲気で歯みがき習慣を身に付けてもらうことが大切です。歯みがきの後は、「きれいになったね」「さっぱりして気持ちいいね」などと声かけをして、たくさんほめてあげましょう。

 乳幼児は、身体に比べて頭が大きくバランスが悪いので転倒しやすく、転ぶと頭を打つ確率が高くなります。頭を打った場合に問題となるのは、受傷後に中枢神経症状が起こるかどうかということです。


 ぐったりとして泣かない、呼びかけても反応がはっきりしないといった意識障害はもちろんですが、嘔吐を繰り返す、顔色が悪くなる、けいれんを起こすといった症状が現れた場合には、早急に脳神経外科または救急外来の受診が必要になります。中枢神経症状を伴う場合には『脳震盪(のうしんとう)』のように数時間で意識が回復する軽傷なものもありますが、徐々に脳出血を起こす『硬膜下血腫』などの場合もあるので慎重な経過観察が必要になります。


 一方、相談者のように受傷直後に中枢神経症状がなく、頭のこぶや擦り傷だけで大泣きした場合であっても、後日打ちつけたことが原因で脳内出血を起こす可能性もありますから、受傷後48時間は様子観察が必要です。念のため、受傷当日は入浴や外出を控えて安静に過ごした方がよいでしょう。


 こぶや傷の手当てについてですが、こぶは皮下出血ですから、打った直後は氷水などで冷やして内出血の広がりを抑えることが大切です。広がりが治まれば冷やすのは止めて、後は周囲の組織へ自然に吸収されていくのを待ちます。頭の傷は擦り傷程度なら消毒だけでもよいでしょう。切り傷で出血を伴う場合には、まずは圧迫して出血を抑え、止血が確認できたら患部の毛髪を短く切り、消毒した後、清潔なガーゼで傷を保護して下さい。

 母乳がよく出ているなら、飲ませていても構いません。数年前までは、生後10か月頃から遅くても1歳6か月位までには、母乳をやめるという考え方がありました。しかし、最近は、月齢を目安に母乳を断つ(やめる)のではなく、赤ちゃんの成長に合わせて自然に「卒乳」するのを待つという考え方が広がってきています。


 赤ちゃんは母乳で栄養を摂るだけでなく、おっぱいを吸うことで、安心感も得ています。赤ちゃんが自分から離れていくまで母乳を与えて、卒乳する時期を待ってみるのも一方法でしょう。母と子の数だけ卒乳の仕方もいろいろあるととらえてみるとよいでしょう。

 生後6か月頃を過ぎると心と体が発達し、睡眠も大人の眠りと同じように深い眠りから浅い眠りを繰り返して朝になります。赤ちゃんの眠りはまだ未熟なので、深い眠りから浅い眠りになったとき、少しのことで目覚めて泣いてしまいます。その原因はさまざまです。対策も赤ちゃんによって異なり、日によっても効果がある場合とない場合もあります。複数の対策を試してみるのがよいでしょう。


  • 朝はカーテンを開けて日差しを浴び、夜になったら部屋を暗くする。
  • 昼寝の時間を短くして、昼間は活発に活動させる。
  • 昼寝の時間を短くして、昼間は活発に活動させる。
  • 授乳や抱っこをする。
  • 寝る前にいつも歌を聴かせたり、絵本を読むなど同じ行動をする。
  • 部屋を明るくしてしっかり目覚めさせ、遊びに付き合う。


 泣いてしまって、泣き止ませなきゃと焦ったり不安になると赤ちゃんにも伝わってしまいます。泣かせておくことは悪いことではありません。好きなだけ泣いてもいいよという気持ちで、自分を追い詰めないようにしましょう。

     離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時をいいます。開始時期のこどもの発達状況の目安としては、首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べ物に興味を示すなどがあげられます。その時期は生後5~6か月頃が適当ですが、こどもの発育及び発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安として、こどもの様子をよく観察しながら、こどもの「食べたがっているサイン」に気がつき進めることが重要です。

     母乳で育児をするお母さんの場合は、生後6か月の時点で、鉄欠乏を生じやすく、ビタミンD欠乏も心配されることから、適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなど、離乳食の進み具合をみてそれらの食品を意識的に取り入れることが重要です。


     はちみつは、乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、1歳を過ぎるまでは与えないよう注意します。
     食物アレルギーの発症を心配し、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~6か月頃から離乳を始めるようにしましょう。


     食物アレルギーがあるお子さんでも、原因となる食べ物以外の離乳食開始の時期を遅らせる必要はありません。病院で指示された原因となる食べ物を除去しながら、通常通りに離乳食を進め、食べ物を除去することにより栄養状態が悪化しないように、必要な栄養素を含む他の食品をバランスよく食べるようにしましょう。
     また、離乳食開始前に湿疹がある場合は医療機関を受診して皮膚症状の改善を行い、離乳食の開始について相談しましょう。 

    母親・父親

     インフルエンザワクチンはウイルスの病原性をなくした「不活化ワクチン」というタイプのものなので、お母さんの体内でウイルスが増えることはありません。母乳を通してワクチンが赤ちゃんに悪影響を起こすこともないため、授乳中に接種を受けても支障ありません。

     授乳中でも治療のために、薬が必要なこともあります。医師はできるだけ安全な薬(母乳中への移行量が少ない薬、また副作用の少ない薬など)を選んで処方します。したがって、ほとんどの場合、授乳は続けることができますが、生後1~2か月の赤ちゃんに授乳する際のみ、中止するよう指示されることもあります。

    なぜならば、生後まもない時期はまだ肝臓や腎臓の機能が十分ではないため、薬を排泄する能力が低く、赤ちゃんの体内に薬の成分が蓄積されてしまう恐れがあるからです。授乳を続けて良い場合でも、念のため赤ちゃんの様子をよく観察するようにしてください。母乳の飲み具合、眠り方、機嫌、便の状態に注意し、飲みが悪くなる、うとうと状態が続く、変にぐずり機嫌が良くない、下痢、発疹がみられるなど、いつもと異なる症状がある場合は、早目に処方を受けた医療機関に連絡し、診察を受けるようにしましょう。


     薬は、服用後徐々に血液や母乳中に移行していきます。一般的に母乳中の薬の濃度が最高になるのは、服用後2~3時間が経過した頃ですので、薬の服用直前か、または直後に授乳すれば赤ちゃんへの影響が少なくできると思います。薬の害を心配しすぎて自分の判断だけで母乳を中断しないようにしましょう。
     なお、国立研究法人国立成育医療研究センターのホームページに、授乳中の薬の使用についての記事がありますので併せて参考にしてください。(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/druglist.html